介護は技術ではなく、覚悟である。
—— なぜ「介護福祉士 岡本」は、現場を記録し続けるのか。
「うまい介護」と「いい介護」は、似て非なるもの。
介護の世界では、どうしても「技術」が評価されやすい。
早く動ける人。手際の良い人。移乗がうまい人。記録が正確な人。
もちろん、それらは大切だ。命を預かる以上、技術が必要なのは当たり前だ。
しかし、利用者や家族の記憶に残るのは、
「うまい介護」ではなく「いい介護」であることが多い。
完璧な手技よりも、「最後までそばにいてくれた」「ギリギリまで諦めなかった」その姿勢が、人生の最後のページに刻まれる。
「どこまでこの人の人生に責任を持つ覚悟があるか」
という一点なのかもしれない。
覚悟は、マニュアルの外側で試される。
マニュアルは、大事だ。安全を守るための最低ラインでもある。
けれど、現場には必ず「マニュアルに載っていない状況」が現れる。
余命半年と宣告され、治療をやめて働き続けていた五十三歳の男性。
病院の前に立ち尽くしていたあの日、
彼を支えるかどうかを決めたのは、資格でも経験年数でもなかった。
——そう言って一歩前に出るかどうか。その一歩に、覚悟の有無が現れる。
生活保護の申請。介護申請。寮の片付け。
デイサービスと保険外サービスを組み合わせた四ヶ月。
それらはすべて、教科書通りの「介護業務」からはみ出した仕事だった。
けれど、あの男性の最後の言葉は、たった二つだった。
「ありがとう。楽しかった。」
技術の成果というより、覚悟に対する答えだったのだと思う。
なぜ、岡本は現場を「記録」し続けるのか。
介護の現場には、誰にも知られないまま消えていく物語が山ほどある。
ニュースにもならない。SNSでもバズらない。
けれど、その一つひとつが、誰かの人生を支えている。
——そのことを、何度も目の前で見てきたからこそ、
岡本はカメラを構え、ペンを持ち、記録を続けている。
覚悟を決めて動いた職員がいる。
ギリギリのところで踏みとどまった家族がいる。
最後の四ヶ月を「楽しかった」と言えた利用者がいる。
その証拠を残さなければ、介護はいつまでも「きつい・汚い・危険」のイメージのままだ。
WEB ART STORIES は、その覚悟の記録だ。
現場で何が起きているのかを、映画のように、教科書のように、未来へ渡すためのノートでもある。
技術は、覚悟のうえに積み上がる。
勘違いしてはいけないのは、「技術はいらない」という話ではないことだ。
覚悟だけで現場は回らない。命を預かる以上、プロとしてのスキルは必要だ。
ただ、覚悟のない技術は、どこかで必ず限界が来る。
しんどい日、報われない日、理不尽な日。
給料だけでは耐えられない瞬間に、最後に体を支えるのは「なぜこの仕事を選んだか」という原点だ。
「移乗の方法」でも「記録の書き方」でもなく、
「あなたは、どんな覚悟でこの仕事を続けますか?」
という問いなのかもしれない。
その覚悟があるからこそ、人は技術を磨き続けられるし、
現場で起きた一つひとつの物語を、誰かに届けたいと思える。
WEB ART STORIES は、その覚悟の軌跡を残すための場所であり、
同じ覚悟を持つ誰かが、どこかでページを開くことを信じている。

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