介護離職10万人。これはニュースではなく、現実。
介護が理由で仕事を辞める人——いわゆる「介護離職」。その数は、毎年およそ十万人にのぼると言われている。 数字だけを見ると、どこか遠くの出来事のように感じるかもしれない。しかし実際は、「普通に働いていた人が、ある日突然、仕事を手放す」という現実が静かに起きている。
そして、その多くはニュースにも SNS にも流れない。誰にも気づかれないまま、ひとつのキャリアが終わっていく。
「家族を見捨てられない」という罪悪感
介護離職の背景には、共通する感情がある。「家族を見捨てたくない」「自分だけ安全な場所にいるわけにはいかない」。そうした罪悪感だ。
働きたい。でも、目の前の家族を一人にできない。「仕事と介護、どちらを選ぶか」の選択ではなく、「もう選択肢が残っていない」と感じるところまで追い詰められている。
本人が悪いわけではない。家族が悪いわけでもない。仕組みとして“追い込まれる構造”が、そこにある。
なぜ辞めるしかなかったのか
一つひとつのケースには、必ず事情がある。デイサービスの空きがない。ショートステイが使いにくい。特養の入所待ちが長すぎる。急に状態が変わって受け入れ拒否になった。職場の理解が得られなかった——。
どれも、一人の努力ではどうにもならないことばかりだ。「辞めた」のではなく、「辞めざるを得なかった」。これが介護離職の本質だ。
十万人という数字の裏側
十万人という数字は、単なる統計ではない。“十万通りの人生の中断”である。家族のために退職し、貯金が減り、キャリアが途切れ、復職が難しくなる。
本人の人生にも、社会にも、見えない負担が積み重なっていく。そして、この大きな問題は、当事者が声を上げづらいため、表に出ないまま蓄積している。
解決策は、もう「がんばり」ではない
「もっと両立をがんばれ」「家族で協力すれば何とかなる」——そんな精神論では、何も変わらない。必要なのは、“逃げ場”と“預け先”と“仕組みの柔軟さ”だ。
ベッドは空いているのに使えない現実。受け入れの基準が高すぎる現場。制度が、利用者の日常に追いついていない状況。それらを一つずつ変えなければ、介護離職は減るどころか、今後さらに増えていく可能性すらある。
WEB ART STORIESとして伝えたいこと
介護離職十万人という数字は、ニュースではなく「社会のSOS」だ。そしてこれは、誰か一部の人の問題ではない。家族がいれば、誰もが当事者になり得る。
WEB ART STORIES は、現場の声や、当事者の苦しみ、制度の歪み、社会とのズレを“静かに、確かに”記録していく。大きな問題は、大げさに叫ばれるよりも、一つひとつの物語として語られた方が届く。俺たちは、その語り手になりたい。
WEB ART STORIES 編集室

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